剥がれた壁の状態
今回は台風時期に風で大きく剥がれ落ちた漆喰壁をDIYで補修してみました。
古い家なので、壁は土壁に漆喰で仕上げられていますが、剥がれた後を見ると、既にだいぶ剥離が進んでいたようです。
白く見えている部分が剥離していたところで、凹んで土壁が露出している所が剥離していなかった為に漆喰が剥がれ落ちる際に漆喰に持っていかれた所なんだと思います。
まだ剥がれ落ちていない漆喰もよく見ると完全に浮いてしまっていました。
土壁は凹んだり欠損部分もあるので、壁の補修も必要ですね。
壁の補修の準備する
浮いてしまっている残った漆喰を剥がしていきます。スクレッパーを差し込むだけで簡単に大きな塊が剥がれました。
壁の表面の埃や落ちた壁の残骸を掃除しておきます。隣の駐車スペースも近いので、こまめに掃除しておきました。
まずは壁の凸凹を壁の穴埋め補修材で埋めて平らにしていきます。
作業は保護メガネ、手袋をして行います。作業中、補修材の粉が舞うので吸い込まないよう注意しましょう。
説明書に書いてある量の水を用意しておきます。補修材に水を加えて練っていきますが、水は数回に分け少しずつ加えてます。
はじめは水が足らなくなるんじゃないかと思いましたが、良く練ることで丁度いい固さになりました。ある時点から一気に柔らかくなるので、水の入れ過ぎには注意です。
壁に補修材を塗る前に壁に水を吸わせておきます。土壁は予め水を吸わせることで補修材や漆喰を塗る際、土壁に水分を吸われて施工後の剥がれやひび割れを防止します。
ですが、この後失敗に気が付きます。
はい、ここで失敗に気づくんですが、補修材を塗ろうとすると土壁の土が補修材と一緒にコテにくっついて剥がれてくるんですね。厚塗りするところは何とか誤魔化せましたが、薄塗りのところはダメです。補修材がのってくれません。家にあったコテの状態も悪く、滑りが悪いせいもありますが、完全に失敗しました。
実は施工前に色々調べたんですが、土壁に補修材や漆喰を塗る際は予め水を含ませておく方が良いとか、灰汁止めは要らないとか色々書いてあったり、なにも説明が無かったりしてどれが良い方法か良く分からないまま作業に入ったんですよね。
この時はもう、補修材も練ってしまったのでこのまま作業を続けましたが、補修材を塗る前のこの時点で灰汁止め・下地補強の下処理剤を塗っておくべきでした。薄く塗れないので、かなりの厚塗りになってしまいました。
そしてもう一つ失敗してますね。補修材をチョイチョイと塗るだけで終わると思っていたのでマスキングもしていません。補修材が思ったようにのってくれないし、思ってた以上に補修面積が広くなったので柱などを汚したり、はみ出したりしてしまいました。マスキングもしておけばよかったですね。汚れたりはみ出した部分は乾く前に洗い流しました。
補修材が乾くまで一日おいてから灰汁止め・下地補強の下処理剤を塗っていきます。
灰汁止め・下地補強材を塗布する
補修材を塗る際に汚してしまったのでマスキングをする事にしました。まず、マスキングテープを貼り、マスキングテープの上からマスカーを貼っていきます。
次に下処理剤を準備します。下処理剤を塗ることにより土壁からでる灰汁を防いだり、壁面を固めて崩れにくくし、漆喰が塗りやすくなります。説明書の通り始めの1~2回は水で薄めてから塗り、仕上げは原液のまま塗っていきます。空のペットボトルを使えば混ぜるのも楽だし、保存もできるので便利ですね。
脆くなったり弱っている部分にはしっかり染み込ませておきます。1回目を塗ってから半日待って2回目を塗り、1日置いてから3回目に原液を塗りました。
24時間以上乾燥させれば下処理は完了です。壁面は糊で固めたようにカチカチになります。初めから塗っておけばよかったですねぇ。
漆喰を準備する
気を取り直して漆喰の準備をしていきます。今回は乾きが早く工期の短縮、割れにくく綺麗に仕上がりになるという事で漆喰用ボンドを混ぜる事にしました。
容器に漆喰用ボンドを入れ、水を入れていきます。このとき、漆喰用ボンド+水の量が指定された水の量になるようにします。
よく撹拌し、漆喰を投入します。漆喰を投入したら触らず3分~5分ほど放置して漆喰に水を吸わせます。
漆喰が水を吸ったらヘラなどでコネていきます。途中、面倒くさくなったので手でコネました。結局手でこねるのが早いですね。漆喰のダマがなくなったら撹拌機で更にコネていきます。
粉の状態からいきなり安物の撹拌機を使うと壊れるらしいので、これくらいから使うのが良いみたいです。
しっかり練ってホイップクリームみたいになったら乾燥しないよう、ラップやビニールで包んで一晩練り置きします。
コテ板をDIYで製作する
漆喰を練り置きしている間にコテ板をDIYで作ります。頻繁に使う道具でもないし、買うと結構な値段するので、家にあるものを利用します。ちり取りでも十分ですが以前、プレハブを修理した時のアルミ複合版の端材を使う事にしました。
アルミ複合版は発泡ウレタンをアルミで挟んだ板で、軽くて強度もあるのでコテ板の材料としては十分でしょう。気軽にカッターナイフで加工できるのいいですね。
取っ手は家に転がっていた木の端材をホットボンドで接着。念のため負荷のかかる部分には釘も打っておきました。
下塗りの準備
いよいよ漆喰を塗っていきます。今回は四方全部をマスキングしていきます。
マスキングテープは壁面から漆喰を塗る厚みぶん、数ミリあけて貼っていきます。
今回、壁の補修作業をするにあたって新たに脚立や足場台を買うかかなり迷いましたが、結構な値段するので諦めました。コテの長さもあるし、ギリ届くかなぁと思ってたんですが、やっぱりこれが失敗の要因の一つとなりました。安心安全な作業が第一で、ケチる所じゃないのは分かっているんですけどねぇ。
練り置きしていた漆喰の固さを調整していきます。少し水を足すだけであっという間に柔らかくなるので、水の入れ過ぎに注意しながら調整しました。
ですが、正直素人には耳たぶより少し柔らかいくらいとか言われても分からないんですよねぇ。このときは大分柔らかくしたつもりだったんですが、結果的にもう少し柔らかくしておけば良かったなぁって思います。
漆喰が準備できたらお玉でコテ板に適量のせます。職人さんがやっている例のあの動作ですね。
コテ板の上で使う量だけ分けておきます。
コテ板を90度~120度くらいまで起こしながらコテをスライドさせて漆喰をコテにのせます。漆喰をコテにのせるときに手首のスナップを効かせるのがコツです。
一見難しそうに見えますが、漆喰はセメントなどより粘りがあるのでコテ板から簡単に落ちたりしません。職人さんのように格好良くはいきませんが、漆喰塗りの醍醐味、職人気分が味わえます。
下塗り(1回目)
いよいよ漆喰を壁に塗っていきます。1回目の下塗りは仕上がりを気にせず、壁全体に擦り付けるように薄く塗っていきます。今思えば、ここでもしくじってますねぇ。漆喰がカメラアングルなどの準備や作業中に硬化が進んで少し固くなってしまってます。そのせいで漆喰が薄く伸びず、見ていても塗りにくそうですよね。
中塗り(2回目)
1日置いてしっかり乾燥させてから2回目、中塗りをしていきます。中塗りは漆喰面が平らになるよう凸凹に気を付けながら塗っていきます。実はこの段階で失敗を確信しています。最初の補修作業で無理やり補修材を塗ったので、補修跡に厚みが出てしまい思った以上に凸凹になっています。凸凹を無くすために大分厚塗りになってしまいました。
途中で手袋をしていないのに気付いて手袋をつけました。漆喰は強いアルカリ性なので、手袋をしていないと肌がカサカサに荒れちゃうんですよね。このあと更に失敗は続きます。
上塗り(仕上げ塗り 3回目)
3回目、仕上げの上塗りは3日ほどあけて作業しています。ひび割れ防止のため、漆喰面に霧吹きで水気を与えて仕上げ塗りの漆喰が水分を持っていかれないようにします。
動画には映っていませんが、上塗りの漆喰に漆喰油を加えました。漆喰油を加えると3年程度、汚れが付きにくく、防水・ツヤ出し効果が続くらしいです。 仕上げの上塗りは、とにかくコテ痕を消しながら滑らかで平らな面を目指して塗っていきます。下塗りと中塗りの失敗を踏まえて漆喰はかなり柔らかくしたんですが、ここでも失敗。作業に夢中になり過ぎて時間をかけ過ぎてしまってます。時間をかけ過ぎたせいで漆喰が徐々に固くなっていて漆喰面が滑らかさに欠けています。 頻繁に脚立を上り下りして漆喰の固さ調整をする手間を惜しんだ結果、このあと後悔することになります。
上塗りが終わったら漆喰が固まる前にマスキングを剥がします。DIYでワクワクする瞬間ですね。
作業が終わっらたら漆喰が完全に乾くまで1週間は漆喰面が雨などで濡れないよう養生しておきます。
補修作業完了
補修が完了した壁がこちら。
一見きれいに仕上がっているように見えますが、近くで見ると凸凹が残っていたり、ヒビも出ています。ヒビの原因としては部分的に厚塗りになってしまったこと、漆喰の固さ調整の失敗、作業に時間をかけ過ぎたこが主な原因じゃないかとおもいます。ヒビは時間を見て上から薄く漆喰を塗って誤魔化そうかと思っています。仕上がり的には足場台があれば壁の上の方まで楽に届いて仕上げも綺麗になったと思います。なにより足元が安定して大きな動作で塗れるます。漆喰の固さ調整や補充のための上り下りも楽になったかもしれません。
今回経験を積んだことで次回はもっと上手く綺麗に仕上げられると思います。機会があればリベンジ頑張ります。
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