ヒーロー物はあまり見ないのですが、ダークヒーローということで興味を持ちました。見始めていきなりウォッチメンの成り立ちや陰で関わってきた過去の事件や出来事がスローモーションで流れます。これが超カッコいい!あなたの知っているあの事件や出来事の陰にウォッチメンたちはいたのだと観客を物語の中に引きずり込んでいきます。 作品中では1960年ごろがヒーローの創成期という設定のようです。ヒーローは継承されている設定が面白いですね。1985年のアメリカを舞台にヒーローの一人、コメディアンが殺されることから物語が展開していきます。80年代ということでバックに流れるサウンドオブサイレンスやロックバルーンは99など懐かしい楽曲が使われていますが、なかなかハマっていてカッコいいです。
ウォッチメンはアメリカンコミックが原作のヒーロー物なのですが、思っていた以上にダークヒーローでした。もし本当にヒーローと呼ばれる人たちがこの世にいたならどんな世界になるだろう、そんな作品世界です。創設当初は正義感にみなぎったヒーローばかりだったが、いつしか正義という行為はねじ曲がり解釈され、正義という名のもとに暴力的になるヒーローも出現し始めます。ベトナム戦争では作戦の先頭に立ち虐殺と言えるほどの殺戮をし、街では自警という名の暴力行為を尽くすヒーローを封じ込めるためヒーロー活動は違法になってしまいます。これは正義という名の行為を違う角度から見るとそれは本当に正義なのかという問いかけのようです。米ソ冷戦下、パワーバランスの均衡を保っていたが、1959年の科学事故でDR.マンハッタンというヒーローを超える本物の超人が誕生したこで一転。ヒーロー界でも一大事件で、これまでのヒーローの範疇を超えた超人、本物のヒーローDR.マンハッタン出現で引退を決意するヒーローも出てきます。素性を明かさないのがヒーローですが、顔と本名を公開し回顧録を出版する元ヒーローまでいます。こういうところはリアルの世界もあまり変わらない様ですけど(^_^;) そんな中、ヒーロー活動を続けているロールシャッハだけがヒーロー殺しの真相解明に奔走、ヒーローの人間関係や黒幕を解明する話が並行して進んでいきます。ヒーロー物ですが子供には見せられないシーンもてんこ盛り、流石ダークヒーローです。ヒーローが悪人の頭を包丁で何度もカチ割るシーンやヒーロー同士のベッドシーンとか、人が切り刻まれたり、爆発したり・・・。そもそも一番のヒーローであるDR.マンハッタンは人間性を著しく欠如している設定とか、いつも股間もろ出しって(^_^;) 人間じゃないから股間の形分かる位の書き込みもOKなのか・・・。シリアスシーンでもモロ出しで話に集中できない。 終盤、黒幕の正体もそのたくらみも判明しヒーローたちの戦いが始まります。ヒーローたちは世界を救えるのか、ヒーローたちの決意、その結末は・・・。 私は一番ヒーローらしくないロールシャッハが一番カッコいいと思いました。ある事件がきっかけとなり、正義とは何なのか葛藤し続けるヒーローとなります。ロールシャッハの最後もロールシャッハらしい最後で衝撃でした。 コスチュームやメカはいかにもアメコミ風で好みは分かれると思いますが、これは大人にお勧めの本物のヒーロー映画です。