DIYで完璧エアコンクリーニングに挑戦
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6月に入って、いよいよ気温も上がってきました。夏にはほぼ24時間フル稼働してくれるエアコンですが、エアコンの掃除ってあまりやりませんよね。エアコンの外側は部屋の掃除の時に掃除機で埃をとるくらいかな。フィルターは季節ごとに埃を取って水洗いをしています。掃除機でフィンの埃を取ったり、エアブローしたりもします。
エアコンの掃除は熱交換効率アップで冷暖房の効きが良くなり光熱費削減にもつながるので、誰しもフィルター掃除くらいはやった経験があると思います。ですが、これで本当にエアコンは綺麗になったのでしょうか?エアコンを設置して数年ならフィルター掃除程度で大丈夫でしょうが、設置から数年経ったエアコンはフィルター掃除程度では効率アップにも限界があります。
本当に掃除が必要なのは
エアコンの冷暖房の効率を本当にアップさせるためにはフィルターよりエアコン内のフィンのクリーニングが重要。フィルター掃除はあくまで吸気の性能をリセットするだけ。吸気性能が戻ることで電力消費が改善されますが冷暖房の性能には関係がありません。実際に冷暖房の際に熱交換されているのはエアコン内部、アルミの薄い板が沢山並んでいるフィンです。
このフィンが汚れたり埃で目詰まりしていると、いくらフィルターを掃除して吸気能力を改善したとしても熱交換がうまくいかず冷暖房の効率が大幅に下がってしまいます。このフィンの隙間に入り込んだ汚れや埃は喫煙される方ではタバコのべたつくヤニが埃と一緒にフィンの隙間に溜まり固まってしまったり、お香のススなど細かな汚れが付着したりして掃除機ではなかなかとることが出来ません。
健康にも影響を与える厄介者
エアコンのクリーニングが必要な理由としてフィルターやフィンを綺麗にして熱効率アップ、電気代節約なのですが、実はそれだけではないんです。もっと重要で重大な理由があるんです。私もこれでエアコンのクリーニングを決意しました。普段は覗く事が無いエアコンの奥ですが、送風の方向を確認しようと送風口を覗き込んだ時に発見してしまいました。
そう、エアコン内部のカビです。初めは元々黒い部品かと思っていましたが、指で触れてみると指先がカビで真っ黒に。背筋がゾワッとくるくらいのカビで正直引いてしまいました。普段は気づきませんが、年中室内外と気温差のある空気を作り出しているエアコン内部には結露や空気の湿気でカビの温床になっていることが多いんですね。
一年中、ほぼ毎日このカビだらけのエアコンから勢いよく拭き出てくる空気を吸い込んでいたんですね。これは電気代削減よりずっと深刻な健康に影響する大問題です。この状況を見て速攻でDIYでできるエアコンクリーニング用の道具を検索し始めました。
DIYエアコンクリーニングに必要な道具は
通常のフィルター掃除と簡単なフィンの洗浄だけなら準備も道具も簡単。脚立、掃除機、ビニールシート、雑巾、フィン洗浄用スプレーくらいで済みます。ですが、これではフィンの汚れはある程度除去できますが、エアコン奥のカビまでは洗浄することは出来ません。
今回はエアコン奥のカビまで本格的に洗浄して完璧を目指します。DIYで本格的にエアコンクリーニングするために必要な道具は脚立、掃除機、エアダスター、バケツ、雑巾、ビニールシート、養生テープ、ラップ、ドライバー。あると便利な道具としてはエアコンクリーニング用カバー、フィン洗浄用スプレー、洗浄機です。
エアコンクリーナー用カバーはビニールシートで、フィン洗浄用スプレーと洗浄機は洗剤と霧吹きで代用可能です。ただし、時間短縮と部屋を汚さないためエアコンクリーニング用カバーの購入をお勧めします。特に今回は大量の水で洗浄するのでエアコンクリーニング用カバーは必須です。(※エアコンクリーニング用カバーには壁掛用、天井埋め込み用などお使いのエアコンに合った物を選ぶ)フィン洗浄に洗剤を代用する際は成分に注意が必要です。フィンは薄いアルミで出来ているので、洗剤によってはフィンを腐食させてしまうことがあります。
エアコンクリーニング用カバーは色々なメーカーから値段もピンからキリまで幅広く販売されていますが、一番安い商品で大丈夫。繰り返し使えるのでコスパも良いです。フィン洗浄用スプレーは1台に1本使い切ると考えた方が良いです。容量、お値段、香りなどお好みで。
エアコン洗浄の準備
実際にエアコンの洗浄を始める前に準備をします。まずは部屋とエアコン周辺の片づけから。濡れては困るものや高価なもの大切なもの、邪魔になるものは出来るだけ作業スペースから遠ざけておきます。
安全に作業できる作業スペースが確保出来たら、まず忘れないようにエアコンのコンセントを抜いておきます。コンセントを抜き忘れて作業するのはとても危険なので真っ先にやっておきます。次にフィルターを外します。簡単に分解できるところから始めると後の作業が楽です。
フィルターは季節ごとに掃除しているのでそれほど汚れてはいませんでした。ですがフィルターの奥にはフィルターをすり抜けた細かい埃がフィンの隙間に詰まっています。普段手の届かないエアコンの上にも埃がたまっていました。エアコンの部品を外しながら目に付く埃などを掃除機で吸い取っておきます。そうすることで部屋も汚れないですし、取り外した部品を水洗いする際も作業が楽になります。
いよいよ分解開始
エアコンの部品を外していく手順としてはフィルターの次は全面カバーですね。ほとんどの製品は「C」の形をした部分でジョイントされているだけなので、少し力を入れて引っ張れば簡単に外すことが出来ます。引っ張る時にひねったり片方だけに力を入れたりすると割れる恐れがあるので無理は禁物です。
全面カバーが外れたらエアコン全体を見まわしてネジの場所を確認します。ネジ位置を確認したらどのネジを外すか再度確認します。外す順番を決めたら順番通りにネジを外していきます。部品はネジだけではなく、爪などで固定されている部分もあるので外れないときは無理に外そうとせず、外し忘れのネジが無いか確認します。製品によってはネジが見えないようにカバーが付いていたりシールが貼られていたりするので注意しましょう。
カバーを固定しているネジや爪を外したらカバーを手前に引けばスポッと外すことが出来ます。製品によってネジと爪の位置や数が違います。またカバー側にセンサーなどのコードが付いている場合があるので必ず確認してから外してください。
普段は見ることのできないカバー内側にも埃が溜まっています。大雑把で構わないので埃を掃除機で吸い取ります。
次に吹き出し口の送風フィンを取り外します。送風口の中央辺りに送風フィンを固定している部分がある場合、先に外しておきます。中央の固定が外せたら送風フィンを少し曲げるようにして外します。割れそうで少し怖いですが注意しながら手前と奥の2枚を外していきます。
取り外した送風フィンの裏には黒いカビが付着していました。予め手の届くところは拭き取っていたつもりでしたが拭き残しがずいぶんありました。やはり分解して洗わないと綺麗には出来ませんね。
いよいよ最後の部品、熱交換器のフィンのカバーを外します。ネジ位置を確認したらセンサーや掃除機能の配線を外していきます。ネジ位置や配線が分からなくなったとき用に写真を撮っておくと安心です。カバーを外す際にフィンに当てないように注意してください。うっかり当ててしまうとフィンが変形してしまいます。フィンが変形してフィンとフィンの隙間が潰れてしまうと熱交換の効率が落ちてしまいます。潰してしまったら出来る範囲で元のように戻しておきましょう。フィン潰れが広範囲だったり散在している場合、フィンを直す櫛の様な専用の道具が販売されています。値段も安いし、効率よく修理できます。
エアコンを壊さないために一番重要です
これでエアコンの分解は一通り完了です。フィンに溜まった埃は掃除機を使って吸い取ります。その際、掃除機にブラシ付きノズルを装着してフィンを潰さないよう、フィンの目に沿って優しく掃除します。
この状態をいきなり見ると元に戻せるの?とチョット不安になるかもしれませんが、部品点数もネジ数も少ないので大丈夫。それにしても普段見ることが出来ない所に随分と埃が溜まっていますね。あらかた掃除機で埃が除去出来たら掃除機で取れなかった隙間やノズルが届かない奥の埃をエアブローで吹き飛ばします。
そして実はこれからの作業が一番重要かもしれません。電気部品部分の養生です。電気部品が洗浄液や水で濡れてしまうと錆やショートの原因になりエアコンが壊れてしまう事があるので慎重に作業します。ビニール袋をかぶせたり、形状が複雑な場合はラップで巻くなどして防水処理します。必要なら養生テープも利用します。
ここまで作業したら分解して取り外した部品を水洗いします。この段階で水洗いしておけば洗浄作業が終わるころには乾いているのですぐに外した部品を取り付けることが出来ます。
エアコン洗浄カバーを装着
今回使用するのはMONOTAROで購入した激安エアコン洗浄カバーです。MONOTAROでもAmazonでも色々な商品が販売されていましたが、壁掛用で一番安いものにしました。使用頻度もそれほど多くは無いし、高価な商品を購入するとDIYする意味無くなってしまうので。使ってみてダメなら違う商品にステップアップすればいいやというお試しの意味もあります。
装着は想像以上に簡単でした。エアコン側の取り付け口にはゴムが付いていて、スッポリ被せるだけ。念のためにエアコンと壁の間に押し込んでおきました。この洗浄カバーは激安品なので天井側が短め。今回は洗浄機を使って水洗いもするので、念のため天井側はビニール袋を切って追加養生しました。
装着後はこんな感じになります。袋状の下方は排水用に筒状になっています。この形状をビニールシートで再現するのは手間なので、素直に購入して正解だと思いました。排水用の筒部分は排水受け用のバケツに入れておきます。
エアコンクリーナーを噴射
エアコン洗浄カバーと一緒にクリーナーも購入しました。今回は仕事場でもお世話になっているTRUSCO製品をチョイス。工業用品メーカーで信頼性は抜群です。使用前にゴーグル、マスク、手袋をしましょう。
エアコンクリーナーはフィンの目に沿って上下に動かしながらまんべんなく全体に噴射していきます。私はタバコも吸わないしペットもいないので比較的しつこい汚れはないと思いますが、タバコを吸ったり長年洗浄をしていないエアコンはケチらず1本まるまる使い切った方がいいでしょう。クリーナーを噴射すると泡状になりシュワーッと汚れを浮かせていきます。噴射の勢いも良く、フィンの奥までしっかり届いているようです。
エアコンクリーナーを噴射し終わったら10分ほど時間をおきます。エアコンクリーナーが汚れを落としながらドレンパイプを伝って排水されてきます。エアコンクリーナーでフィンだけ洗浄するならこれで作業終了。元通りにエアコンを組み立てて試運転。ドレンからの排水の汚れ具合を確認して完了です。
この段階のドレンからの排水を見てみると白く濁った感じの排水が少量出ていました。
高圧洗浄機を使って本格洗浄
さて、ここからは高圧洗浄機を使って本格的に洗浄していきます。ただし、通常の高圧洗浄機の使い方でエアコンを洗浄してしまうと、その洗浄力がネックとなって故障の原因となってしまいます。一般家庭用の高圧洗浄機は水圧が高く、コンクリートの表面すら削ってしまう威力があります。そんな水圧でデリケートな電気機器やプラスチック部品を洗浄するとどうなるか想像つきますね。専門業者が使っている高圧洗浄機はエアコン専用に水圧が調整されたものなんです。洗浄液を入れた容器から直接吹き付けられる便利物ですが、使用頻度を考えるとコスパ悪いし、だったら業者に頼んだ方が安上がりじゃんってお値段です。
そこで元々持っていた高圧洗浄機を使う事を一旦は諦めましたが、ここで思いつきました。水圧が高すぎて使えないのなら水圧を上げなきゃ使えるって事だよな・・・。高圧洗浄機の電源は入れずに水道の水圧だけなら大丈夫じゃ・・・。そして実際に電源入れずに水道の水圧だけで洗浄機を使ってみました。ノズルから勢いよく水が噴射されますが、水圧自体は庭用の散水ノズル位なので大丈夫そうです。
使用は自己責任ですが思い切って使ってみる事にしました。
私の持っている高圧洗浄機のセットの中にはショートタイプのノズルが入っていなかったので、仕方なく長いノズルで作業しました。作業はやりにくかったですが、エアコンのフィン洗浄自体は上手くいったと思います。フィンの目に沿って上下に動かしながら全体を念入りに洗浄しました。洗浄カバーを伝って真っ黒な排水が排出されていきます。
高圧洗浄機のノズルを送風口に向け、エアコン奥にあるファンに水を掛けると驚くくらい真っ黒な排水が出てきました。想像以上に見えない部分に黒いカビが繁殖していたようです。洗い残しのないようにいろんな角度で黒い排水が出なくなるまで念入りに洗浄しました。
どうですか?すっかり綺麗になったと思いませんか?洗い残しが無いのを確認したら水滴などを雑巾で拭き取ります。水分を拭き取ったら暫く乾燥のため放置します。
放置したまま買い物や洗濯など雑用をして時間を過ごしました。
フィンの隙間や電気部分、部品の隙間などに水分が残っていないか慎重に観察します。フィンの一部が汚れたままになっていますが、ここは養生テープを貼っていた部分です。洗浄前との違いが良く分かると思います。
カビの繁殖が凄かったファンも綺麗になりました。
これが今回の洗浄の成果です。左のドレンからの排水は高圧洗浄後のものなので少し黒くなっていますが白っぽく、フィンの洗浄だけでは黒いカビは綺麗にならないのが分かります。対して右の洗浄カバーからの排水は真っ黒で違いがはっきり分かります。
この違いを見てもエアコンをしっかりクリーニングしたいのならばフィン洗浄スプレーだけでは不十分だという事が分かります。専門業者に依頼すれば1台1万円程度かかってしまいます。今回のDIYでは洗浄カバーと洗浄スプレーの購入で3千円程度、作業時間は2時間かかっていません。
信頼できる専門業者に依頼するも良し、DIYに挑戦してみるも良し、一度エアコンの奥を覗いてみてください。汚れているようならエアコンのクリーニングをしてみてはいかがでしょう。埃やカビは気持ちも悪いし、何より健康にも悪いですよね。綺麗なエアコンできれいな空気、爽やかに過ごしたいですよね。
これでスッキリ、爽やかに夏を過ごせそうです。